米指標の軟化でドル上値重く、円は介入警戒と日米金利差が綱引き

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18日のアジア時間の外国為替市場では、米国の経済指標が相次いで軟化し、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の追加利上げ観測が後退したことから、ドルは上値の重い展開となった。遅延配信のベンダー価格では、ドル指数(DXY)が99.598、ユーロドルが1.1581、ドル円が159.518となった。

一方、イラン戦争を巡る地政学リスクや、円安に対する当局の追加対応への警戒が、一方向のドル安を抑えている。次の焦点は、FRBが米東部時間19日に公表する7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨である。最近の指標を受けた慎重な見方を政策当局者がどの程度共有しているか、あるいは引き続きインフレリスクを重視しているかが注目される。

足元の外国為替市場動向

ドル指数は小幅安、主要通貨は直近の上昇水準を維持

アジア時間の観測時点で、ドル指数は前日終値比0.04%安となった。ユーロドルは前日に上昇した後、1.1581とほぼ横ばい。ポンドドルは1.3545、豪ドル米ドルは0.7108と、いずれも直近の上昇水準近辺で推移した。

ドル円は0.09%上昇し、円は当日ベースで小幅安となった。ただし、円相場は7月末と比べれば高い水準を維持している。これらはアジア時間に取得された遅延配信価格である。

ロイターが直近に全文を公開した市場報告では、7月の米小売売上高などを受けて早期利上げ観測が後退し、ドルが小幅に下落したと伝えた。その後、日本時間18日午前10時51分に配信されたロイターの見出しもドル安方向を維持する一方、イラン戦争を巡る懸念の高まりをより強調した。米指標の軟化が金利面からドルを圧迫する一方、エネルギー価格の上昇や安全資産需要がドルを下支えする可能性が意識されている。

米物価・小売指標が早期追加利上げ観測を抑制

FRBは7月29日のFOMCで、政策金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置き、インフレはなお高止まりしているとの認識を示した。採決は9対3で、3人が25bpの利上げを支持しており、政策姿勢が明確に緩和方向へ傾いたわけではない。

その後に公表された7月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月比0.1%上昇、前年同月比3.4%上昇となった。コア指数はそれぞれ0.2%、2.5%上昇した。最終需要ベースの生産者物価指数(PPI)は前月比横ばい、小売・飲食サービス売上高は同0.6%減少した。

もっとも、指標は一様なインフレ鈍化を示したわけではない。PPIは前年同月比で4.7%上昇し、小売売上高も同5.0%増加した。このため、市場の反応はインフレ収束への確信ではなく、目先の利上げリスク低下を反映したものといえる。

日銀は政策金利を据え置き、円の金利面での不利が継続

日本の4~6月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比0.3%増、年率換算で1.1%増となったが、日本銀行による早期の追加引き締め観測を大きく強める材料にはならなかった。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利を1.0%程度に維持した。採決は8対1で、反対した委員は1.25%を支持した。

ロイターは、日本と米国が異例の協調円買いを実施したと報じている。ただし、報告の締め切り時点で、財務省は7月下旬の実施分を含む月次の外国為替介入実績を公表していなかった。当局の政策シグナルは明確である一方、正式な介入額は未公表のままである。

ECBは政策金利を据え置き

欧州中央銀行(ECB)は7月23日、預金ファシリティ金利を2.25%、主要リファイナンス・オペ金利を2.40%、限界貸出ファシリティ金利を2.65%に据え置き、経済指標に基づいて政策を判断する姿勢を維持した。

為替市場の分析

ドル安は追加利上げリスクの後退を反映

ソシエテ・ジェネラルのキット・ジャックス氏はロイターに対し、雇用統計や小売売上高の軟化に伴う金利見通しの織り直しがドル下落につながったと指摘した。また、ドルの大幅なネットロングが積み上がっているため、持ち高解消の動きが相場変動を増幅する可能性があるとの見方を示した。

MUFGも8月の見通しで、FRBが追加利上げに踏み切るハードルは高いと判断している。一方、タームプレミアムの上昇やリスク回避姿勢の再燃が、短期的にドルを支える可能性もあるとした。ドルが軟化しながらも急落を免れている背景には、こうした相反する要因がある。

今後も米国の景気指標や物価指標が弱ければ、主要通貨に対する金利面からのドル下押し圧力が強まる可能性がある。反対に、中東情勢の緊迫化によってエネルギー価格やインフレ期待、安全資産需要が上向けば、米景気指標が減速してもドルが持ち直す余地がある。

円は介入によるドル円の上値抑制と実質金利差が綱引き

OCBCは、為替介入がドル円の上昇を抑える可能性がある一方、日銀が市場予想を上回る金融引き締めに動くまでは、実質金利差がドル円を支え続ける可能性があるとみている。

ロイターが伝えたモルガン・スタンレーのストラテジー見通しも、世界的に良好なリスクセンチメントと、高水準の米ターミナルレートを織り込む市場の動きがドル円を支える余地を指摘している。円相場は、当局の対応が円安の進行に歯止めをかける一方、持続的な円高を支えるマクロ経済環境が整っていない状態にある。

このため、介入警戒だけを根拠に円相場の持続的な反転を見込むことは難しい。円安がさらに進めば、日本当局の発信や、財務省が今後公表する介入実績に改めて注目が集まる見通しである。

ユーロは相対的な金利環境の改善が支え

ユーロドルの底堅さは、ECBから新たな政策シグナルが示されたためではなく、主に米国の追加利上げ観測が後退したことによる。

スコシアバンクは7月の見通しで、政策金利見通しがドルを支えにくくなるなか、ドルは中期的に緩やかな下落基調になると分析した。金利差の改善はユーロの支援材料になるとしている。

MUFGの8月予測では、10~12月期のユーロドルを1.16、ドル指数を99.29と見込んでいる。現在の動きが小幅に続くとの想定であり、無秩序なドル売りを予想する内容ではない。

FOMC議事要旨が政策判断の次の焦点

7月FOMC議事要旨は、日本時間20日午前3時(米東部時間19日午後2時)に公表される予定である。市場では、需要の軟化と高止まりするインフレを政策当局者がどのように評価しているかが焦点となる。

最近の指標を受けた慎重な見方を多くの政策当局者が共有していれば、早期追加利上げ観測はさらに後退する可能性がある。一方、インフレリスクへの警戒が依然として優勢であれば、ドルの下値を支える材料となり得る。

為替市場の注目チャート

7月30日以降、主要通貨が対ドルで上昇

7月30日以降、ドル指数が下落する一方で主要通貨は上昇

7月30日の日次観測値から今回のアジア時間の観測値まででは、豪ドルが対米ドルで1.18%上昇し、主要通貨の上昇を主導した。ポンドは0.62%、ユーロは0.50%、円は0.42%それぞれ上昇し、ドル指数は0.41%下落した。直近のドル安が特定の通貨ペアだけに限られていないことを示している。

7月の米物価・小売指標

7月の米インフレ、生産者物価、小売売上高

7月は総合CPIが前月比0.1%上昇、コアCPIが同0.2%上昇、最終需要ベースのPPIが横ばい、小売売上高が同0.6%減少した。こうした指標の組み合わせが、目先の金融引き締め観測後退の背景にある。

ただし、指標は景気や物価の勢いが鈍化したことを示すにとどまり、中期的なインフレ見通しを単独で決定づけるものではない。

まとめ

ドルは米指標の軟化と早期追加利上げ観測の後退を受けて上値が重いものの、中東情勢やエネルギー価格、安全資産需要が下値を支える可能性があり、上下双方に動き得る状況にある。

円は介入警戒が一段の下落を抑える一方、日米の政策格差が引き続き重荷となっている。次の重要材料は7月FOMC議事要旨である。円安がさらに進んだ場合は、日本当局の発信や財務省が今後公表する介入実績にも注目が集まる。

参考資料

  • Yahoo Finance, “major currency and dollar-index quotes” — 出典

  • Reuters, “Dollar edges lower against euro as markets trim rate hike bets” — 出典

  • Federal Reserve, “July 29 FOMC statement and meeting calendar” — 出典

  • U.S. Bureau of Labor Statistics, “CPI and PPI releases” — 出典

  • U.S. Census Bureau, “July retail sales” — 出典

  • European Central Bank, “July 23 monetary policy decisions” — 出典

  • Bank of Japan, “July outlook” — 出典。Japan Cabinet Office, “Q2 GDP” — 出典

  • MUFGScotiabankOCBC — 機関投資家向け外国為替見通し。

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