米小売売上高の減少でドル軟調、ドル円は159円台で日米金利差と介入効果が焦点
週明けの外国為替市場では、米小売売上高の減少を受け、ドルが軟調に推移した。日本時間17日9時03分時点のドル指数(DXY、遅延値)は99.57と前日終値を0.10%下回った。ユーロドルは同10時40分時点で1.1580、ドル円は同10時36分時点で159.09となった。
日本の4~6月期国内総生産(GDP)はプラス成長となったものの、円相場への支援は限定的だった。ドル円では日米金利差に加え、先に実施が確認された日米共同の円買い介入の効果が引き続き焦点となる。中国の7月主要経済指標は日本時間11時に公表予定だったが、同11時04分時点で公式サイトに掲載されておらず、本稿には数値を反映していない。
足元の外国為替市場動向
アジア時間はドル売りがやや優勢
週明けのアジア時間では、前週末にみられた緩やかなドル安の流れが続いた。ただ、相場が大きく動く展開には至っていない。
ドル指数の遅延値は日本時間9時03分時点で99.57と、前日終値の99.67を下回った。ユーロドルは1.1580と0.06%上昇し、ドル円は159.09と0.13%下落した。ポンドドルも1.3546と0.08%高、豪ドル米ドルは0.7090と0.07%高となった。
各レートは観測時点が異なる遅延値であるため、同一時点で売買可能な価格を比較したものではなく、方向性を示す参考値である。ウォール・ストリート・ジャーナルも日本時間9時52分、米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利上げ観測が後退するなか、アジア通貨が対ドルで小幅に上昇したと報じた。もっとも、円の上昇幅は限られ、これまでの相対的な弱さを覆すには至らなかった。
米景気指標は弱含み、FOMCでは利上げ支持も
米国では、7月の小売売上高が前月比0.6%減少した。非農業部門雇用者数は2万3,000人減少し、失業率は4.1%だった。
7月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月比0.1%、前年同月比3.4%上昇した。コアCPIは前月比0.2%、前年同月比2.5%上昇した。生産者物価指数(PPI)の総合指数は前月比横ばいだった一方、食品、エネルギー、貿易サービスを除く指数は0.4%上昇した。
FRBは7月29日、政策金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置いた。採決は9対3で、反対した3人は25bpの利上げを主張した。景気に敏感な指標が減速する一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)内ではインフレ見通しへの警戒が残っている。
日本のGDPはプラス成長も内需が弱含み
日本の4~6月期実質GDPの1次速報は前期比0.3%増、年率換算で1.1%増となった。ただ、内訳では内需の寄与度がマイナス0.2ポイントとなった。家計消費は0.1%減、設備投資は1.2%減だった一方、純輸出の寄与度はプラス0.5ポイントだった。
日本銀行は7月31日、無担保コール翌日物金利を1.0%程度に据え置いた。採決は8対1で、反対した委員は1.25%への引き上げを支持した。
ロイターは8月3日、日本と米国が異例の日米共同の円買い介入を確認したと報じた。ただ、財務省は現在の報告期間に対応する介入額をまだ公表しておらず、金額は確認できない。
円への下押し圧力はドル円以外にも表れている。欧州中央銀行(ECB)のユーロ参考相場では、ユーロ円が8月3日の180.73から14日には183.93へ上昇した。
ECBは政策金利を据え置き、中国指標は公表待ち
ECBは7月23日、預金ファシリティー金利を2.25%、主要リファイナンス金利を2.40%、限界貸出ファシリティー金利を2.65%に据え置いた。ECBのユーロドル参考相場は8月3日の1.1535から14日の1.1567へ上昇したが、変化は小幅にとどまった。
アジア通貨には米利上げ観測の後退が一定の支援材料となった。ただし、豪ドル米ドルの参考値は、中国の7月主要経済指標の公表予定時刻より前のものだった。締め切り時点で中国国家統計局の中国語版、英語版の公表ページはいずれも更新されておらず、本稿では未公表の数値を予想値や前月値で代用していない。
為替市場の分析
ドル軟調が続くにはFRBの発信も重要
小売売上高や雇用の減速は、FRBが早期に追加利上げに踏み切る必要性を弱める材料である。一方、食品、エネルギー、貿易サービスを除くPPIが前月比0.4%上昇したほか、7月のFOMCでは3人が利上げを支持した。インフレリスクが後退したと断定できる状況ではない。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、雇用、賃金、小売売上高の弱含みにより、FRBが9月に政策金利を据え置く余地が広がり、短期的にはドルが下落しやすいとみている。ただし、低い相場変動率や金利差を狙ったキャリー需要、米国株への資金流入がドルを支える可能性も指摘している。
INGはユーロドルに緩やかな上昇余地があるとし、短期的な適正水準を1.1600~1.1650付近と試算した。一方、1.1600を明確に上回るには、FRBから一段とハト派的な発信が必要になる可能性があるとの見方を示している。
ドル円は介入だけでなく日米金融政策が左右
日本のGDPはプラス成長だったが、内需の弱さを踏まえると、日銀の段階的な政策運営を直ちに大きく変える材料にはなっていない。日銀が段階的な政策運営を続ける間は、日米金利差が円の重荷となる。
INGは、FRBが9月に政策金利を据え置けば、ドル円が158を下回る余地があるとみる。一方、Westpacは追加の為替介入がなければ、当面は165への回帰よりも160近辺への上昇の方が現実的だと指摘している。
両者の見方は方向こそ異なるものの、介入だけでは円相場の方向が定まりにくい点では共通する。円相場の持続的な方向性は、米国の政策金利見通しと日銀の政策運営に左右される。
米景気の相対的優位の縮小と財政負担がドルの逆風に
ユーロの上昇は、ECBの新たな政策変更よりもドルの軟調さに沿った動きである。Westpacは、米国経済の相対的な優位性が縮小していることや財政面の負担が、長期的にドルの逆風になり得るとみている。これは、ユーロドルの短期的な上昇余地を指摘するINGの見方とも整合する。
もっとも、足元のユーロドルの上昇幅は限定的である。ドル安が続くには、今後の米経済指標やFOMC議事要旨を通じ、追加利上げの必要性がさらに低下するかを確認する必要がある。
今後は17日のカナダ7月CPIに続き、18日に英国の雇用統計、米国の輸入物価と鉱工業生産が予定されている。米国時間19日には7月のFOMC議事要旨、20日には中国の最優遇貸出金利(LPR)、21日には日本の7月CPIが公表される。中国の7月主要経済指標についても、公式発表が確認できるまで短期的な不確実要因として残る。
為替市場の注目チャート
ECBのユーロ参考相場
ECBのデータでは、8月14日にかけてユーロが対ドルで小幅に上昇する一方、対円ではより鮮明に上昇した。ドルが軟調でも、それが必ずしも持続的な円高につながっていないことを示す。いずれもECBが公表する日次の公式参考相場であり、日中の取引価格ではない。
7月の米インフレ・小売・雇用指標
米経済指標は一様に弱いわけではない。総合CPIと総合PPIの伸びは抑制された一方、基調的な物価指標は相対的に強く、小売売上高と雇用者数は減少した。この組み合わせが、ドルの軟調さとFOMC内の意見対立が併存する背景となっている。
まとめ
米小売売上高と雇用の弱含みを受け、週明けはドル売りがやや優勢となった。ただ、基調的な物価上昇圧力やFOMCでの利上げ支持を踏まえると、ドル安が一方向に進む状況ではない。
円相場では、日米共同の円買い介入が確認されたものの、持続的な方向性は日米金利差と両国の金融政策に依存する。今後は各国の物価・雇用・生産統計、7月のFOMC議事要旨、中国の未公表の主要経済指標が、政策金利見通しと主要通貨の方向を左右する材料となる。
参考資料
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米国の公式発表: Federal Reserve、CPI、PPI、employment、retail sales。
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中国国家統計局: 2026 release calendar、live data-release index。
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