米短期国債の借り換え負担がFRBの政策余地を制約か、7月利上げ確率30.5%でドルはFOMC待ち

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火曜日のドル指数は前日比0.11%安の101.25となった。市場が見込む7月の米利上げ確率が30%前後となる一方、ADP雇用者数の増加幅の低迷や、8兆3,000億ドルを超える米短期国債の借り換え負担がFRBの政策運営を制約するとの見方もある。FOMCの政策判断に加え、ケビン・ウォーシュFRB議長が9月以降の利上げ余地や雇用情勢、エネルギー価格についてどのような認識を示すかが焦点となる。

足元の為替市場動向

ドル指数は101.25、7月FOMCを前に利上げ観測が交錯

火曜日は米・イラン情勢に一時的な緊張緩和の兆しがみられたものの、衝突が再び激化するリスクは残った。フーシ派とサウジアラビアの対立も不透明要因となっている。

ドル指数は日中の下げ幅をいったん解消したが、終値は前日比0.11%安の101.25となった。米10年債利回りは4.608%、金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは4.293%となった。

市場ではFOMCを前に、フェデラルファンド金利先物の未決済建玉が過去最高を更新した。7月利上げを巡る不確実性が残るなか、相場動向を受けて市場のタカ派的な見方がさらに強まっている。ウォーシュ議長がこうした見方を明確に打ち消さなければ、ドル買いが続く可能性があるとの見方も出ている。

日銀は据え置きが市場の共通予想、ポンドも中銀会合を注視

日銀が今週の会合で政策を据え置くとの見方は、市場の共通認識となっている。円が反発するには、日銀の政策姿勢だけでなく、FRBからもドル高・円安の修正につながる材料が示される必要があるとの見方がある。

英国ではイングランド銀行(BOE)も今週、金融政策を発表する。FRBとBOEがともに市場予想通り政策金利を据え置いた場合、ポンド相場の焦点は政策声明と記者会見へ移る見通しである。一方、いずれかの中銀が予想外に金利を変更すれば、政策決定そのものが最大の材料となる。

米国の債務・雇用とスイス・英国の経済指標に注目

米国では、1年以内に償還を迎える短期国債の規模が8兆3,000億ドルを超えており、借り換え負担が拡大している。短期国債の発行増加に伴う米国債利回りの上昇は、海外資金や安全資産需要を通じて短期的にドルを支える可能性がある。一方、利払い費の増加や米国債の信用に対する懸念は、長期的にドルへの信認を損なう要因になり得るとの指摘がある。

雇用面では、7月11日までの週のADP雇用者数の増加幅の4週平均が1万5,000人にとどまった。市場では、雇用の伸びが弱い局面でFRBが利上げに踏み切れば、労働市場への負担が強まるとの警戒もある。

本日は17時(日本時間)にスイスの7月ZEW投資家信頼感指数、17時30分に英国の6月BOE住宅ローン承認件数が発表される。翌日3時にFOMCが政策金利を発表し、3時30分からウォーシュ議長が記者会見を開く。その後、21時30分には米国の6月個人消費支出(PCE)物価指数が公表される予定である。

海外市場の見方を踏まえた為替相場分析

本章では、海外金融機関や市場関係者の見解を参考にしながら、為替相場に対する主な見方を整理する。各見解は、公開情報をもとにRYOEXリサーチチームが要約・再構成したものであり、特定の機関や人物がRYOEXの見解を支持・推奨するものではない。

モハメド・タハ・ブハリ氏|FOMC後のドル指数は100.60~102.00が焦点

アナリストのモハメド・タハ・ブハリ氏は、2025年のドル下落について、脱ドル化だけで説明できるものではないとみている。関税政策の不透明感、米国の経済政策に対する懸念、巨額の財政赤字、政策の信頼性を巡る疑念が、米国資産とドルを圧迫してきたと指摘した。足元のドル反発は、景気循環に左右される要因が、こうした広範な懸念を上回れるかを試す局面にあるという。

ドルの強気シナリオでは、FRBが予想外の利上げに踏み切るか、金利を据え置きながら強いタカ派姿勢を示す必要がある。原油価格と米国債利回りがともに上昇し、ドル指数が102を継続的に上回れば、上昇に弾みがつき、ドル反発の裾野が広がる可能性があるとした。

より現実的な基本シナリオは、FRBが金利を据え置く一方、タカ派姿勢を維持し、9月利上げの可能性を残す展開である。原油価格が大きく変動しながらも前週高値を下回る場合、ドル指数は100.60~102.00で推移し、市場は次のインフレ・経済指標を待つ可能性がある。

弱気シナリオとしては、FRBが雇用の伸びの弱さと最近のインフレ鈍化を重視する一方、外交交渉が進展し、原油価格と米国債利回りが一段と低下する展開を挙げた。ドル指数が100.60~100.70を下回れば足元の反発基調が弱まり、100を割り込めば、より長い時間軸でみた強気構造にも下押し圧力が強まるという。

今回のFOMCでは、政策金利を変更するかどうかだけでなく、FRBが再び浮上したエネルギー由来のインフレリスクをどのように表現するか、9月利上げの可能性を残すか、労働市場の弱まりにどの程度の懸念を示すかが重要になる。発表後の米国債利回りと、ドル指数が102付近で示す反応が、ドル反発の持続性を判断する材料になるとした。

クリス・アレン氏|FRBとBOEの政策メッセージがポンド相場を左右

アナリストのクリス・アレン氏は、FRBとBOEの政策決定を控え、ポンド/ドルの値動きが大きくなる可能性があるとみている。両中銀が予想通り政策金利を据え置けば、政策声明と記者会見に市場の関心が移る一方、いずれかが予想外に金利を変更すれば、決定そのものが焦点になるという。

FRBについては、経済指標が底堅さを保つ一方でインフレ圧力が和らいでおり、政策当局者が次の行動について明確な方向性を示す必要性は乏しいと指摘した。BOEは、英国のインフレ率が低下し、経済成長も弱い一方、最近の原油価格反発を受けて、年後半にインフレ圧力がどの程度のペースで再び強まるかという問題に直面している。

両会合の基本シナリオはすでに相場に織り込まれているため、政策メッセージのわずかな変化でも、今後数カ月の金利経路に対する市場の見方を変える可能性がある。

ポンド/ドルは7月中旬以降、下降チャネル内で推移し、高値と安値をそれぞれ切り下げている。下落は比較的秩序立っており、急激な売りにはなっていない。アレン氏は、売り手が主導権を握っている一方、大幅な下抜け局面でみられるような投げ売りには至っていないと分析した。

下降チャネルの上限を下回る限り、短期的な下向きの構造は維持される。上限を明確に上抜ければ短期構造の変化を示す一方、直近安値を下回れば売りが続き、長期的なサポート圏が再び意識される可能性があるとした。

ジェームズ・スタンリー氏|市場のタカ派予想がドル上昇のハードルに

シニアストラテジストのジェームズ・スタンリー氏は、FOMCを前に市場が異例ともいえる様子見姿勢を取っていると指摘した。翌日の利上げ確率は約30%とみられている。通常、FRBは政策発表前の情報発信やメディア対応を通じて市場に行動を示唆し、予想外の決定による変動を抑える。しかし、今回はそのような対応がなかったため、政策発表後に相場が明確な方向性を示す可能性があるという。

年末までについては、少なくとも1回の利上げ確率が90%近く、2回以上の利上げ確率が約50%と見積もられている。同氏は、このシナリオが実現すれば、トランプ大統領が自ら指名したFRB議長が、大統領の利下げ要求を直接否定するように映ると指摘した。米国では11月に大統領選挙が予定されており、選挙前の重要な時期に当たるという。

ドルは6月17日の前回FOMC後に上放れし、足元の高値まで上昇した。ただし、市場がすでにタカ派的な政策を織り込んでいるため、ドルがさらに上昇するハードルは高い。FRBは強いタカ派姿勢を示すだけでなく、インフレが望ましい方向へ進んでいないことに明確な懸念を示し、市場に一段の利上げを織り込ませる必要があるとした。

6月会合では最新の政策指針と経済見通しが公表されたが、今回の会合では新たな経済予測は示されず、政策声明と記者会見のみとなる。このため、ウォーシュ議長の発言が一段と重視される。FRBが市場予想ほどタカ派的でないだけでも、ドルが調整する可能性があるという。

同氏は、ウォーシュ議長にとっては、むしろそれが望ましい結果になり得るとの見方を示した。ドル/円の現状に加え、市場心理が揺らいだ場合に米国債のイールドカーブの長期ゾーンで起こり得る変化も考慮する必要があるとした。一方、ドルの短期的な強気構造は長期的な基調とも整合的であるとの認識を維持した。

ジョシュア・ギブソン氏|エネルギー価格低下はECBの利上げ観測を後退させる可能性

アナリストのジョシュア・ギブソン氏によると、欧州中央銀行(ECB)は前週、預金ファシリティー金利を2.25%に据え置いたが、その政策メッセージは、市場が9月の25ベーシスポイント利上げの可能性を織り込み始めるほどタカ派的だった。

ただし、同氏は、そのタカ派姿勢を構成する要因のほぼすべてがエネルギー価格に由来するとみている。ユーロ圏の6月インフレ率は前年同月比2.8%と、5月の3.2%を下回った。ECBスタッフは2026年の平均インフレ率を3.0%近くと予測しているが、その見通しはほぼ全面的にエネルギー項目によって押し上げられているという。

戦争に伴う価格プレミアムが解消されれば、インフレ見通しと9月利上げ観測も後退する可能性がある。エネルギー価格の低下はユーロ圏の交易条件を改善する一方、金利差によるユーロの優位性を弱める要因にもなる。同氏は、後者の影響がより大きいとみている。

米国側では、金利先物が示す7月利上げ確率は30%をやや上回る水準で、週末時点の36%弱から低下した。一方、12月までに少なくとも1回利上げする累積確率は91%を上回り、2回以上の確率は58%近くとなっている。目先の利上げ観測は後退したものの、市場が想定する最終的な政策金利の水準は上昇したという。

FRBが直面するインフレ要因として、輸入価格が前年同月比で7%を超えて上昇していること、関税対象が引き続き拡大していること、食品や原材料へ価格上昇が波及していることを挙げた。こうした波及には作付け時期などによる時間差があるため、ガソリン価格だけで決まるものではないという。ホルムズ海峡の緊張が緩和しても、これらの問題は変わらないとの見方を示した。

成長率については、市場がユーロ圏の2026年の経済成長率を約0.8%、米国の4~6月期成長率を年率約2.1%と見込んでいると指摘した。ユーロが底値圏を形成するには、資金フローか金利の少なくとも一方が、ユーロに有利な方向へ変化する必要があるとした。

為替市場の注目チャート

本章では、足元の為替相場を読み解くうえで参考となるチャートを取り上げ、金融政策や金利動向、市場心理の変化を整理する。掲載するチャートやデータは第三者機関の情報をもとにしたもので、RYOEXの見解や将来の価格動向を示すものではない。相場急変の可能性も踏まえ、十分なリスク管理を心がけたい。

ADP雇用者数の増加幅、4週平均は1万5,000人

7月11日までの週のADP雇用者数の増加幅の4週平均は1万5,000人にとどまり、6月以降縮小し、同系列で過去最低となった。民間部門の採用鈍化が続くなか、FRBが短期的に利上げを選択すれば、すでに弱さを示している労働市場への負担が増す可能性がある。ドルにとっては下押し材料とみられている。

CMEの7月利上げ確率は30.5%に低下

FOMCの政策発表を前に、雇用指標を受けて市場は利上げ予想を小幅に引き下げた。CMEによると、7月の利上げ確率は30.5%まで低下した。利上げと据え置きのいずれも十分には織り込まれておらず、政策発表とウォーシュ議長の記者会見を受けて、通常より値動きが大きくなる可能性がある。

ドル指数は101~102で推移

ドル指数は今週も101~102の範囲で推移している。FOMCの7月政策決定を控え、投資家は積極的に方向感を出しにくい状況にある。政策声明と記者会見がハト派的と受け止められた場合、日本当局が為替介入に動き、ドル/円が大きく下落する可能性も指摘されている。ただし、ウォーシュ議長はこれまで、フォワードガイダンスをできるだけ避ける意向を示しており、このシナリオが実現する可能性は高くないとの見方がある。

1年以内に償還を迎える米国債と借り換えリスク

民間が保有する米国の市場性国債のうち、1年以内に償還を迎える分は8兆3,000億ドルを超えた。10年債利回りは4.7%に上昇し、連邦政府の利払い費は年率1兆3,500億ドルと、国防費を25%上回るとされる。海外投資家による米国債保有の削減が続き、流動性の脆弱性も高まっているとの指摘がある。

短期的には、国債発行に伴う利回り上昇が海外資金や安全資産需要を呼び込み、ドルを支える可能性がある。一方、長期的には短期債務の増加や利払い負担、海外中央銀行による保有削減、債務の貨幣化を巡る市場の思惑が、ドルへの信頼を損なう要因になり得る。

まとめ

市場が見込む7月FOMCでの利上げ確率は30.5%となる一方、ADP雇用者数の増加幅の低迷や、米短期国債の借り換え負担が警戒されている。ドル指数は101~102で推移しており、FRBが市場予想に沿ったタカ派姿勢を示すか、それとも雇用の弱さやインフレ鈍化に配慮する姿勢を強めるかが焦点となる。ウォーシュ議長の発言、米国債利回りの反応、ドル指数の102付近での値動きに加え、BOEと日銀の政策姿勢も主要通貨の方向性を左右する材料となる。

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