ドルと米国債利回りが小幅反落、米・イラン情勢の緩和とドルロングへの持ち高の偏りが焦点

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米・イラン情勢に緩和の兆しが見られ、原油価格が高値から下落したことを受け、ドルと米国債利回りは直近の高値から小幅に低下した。主要通貨は対ドルで反発したものの、市場は停戦の持続性を慎重に見極めている。米利上げ観測と欧米の金利差は引き続きドルを支える一方、ドルロングへの持ち高の偏りは、FRBの姿勢次第で巻き戻しを招くリスクとなる。

足元の為替市場動向

ドルは高値圏でもみ合い、米利上げ観測が下支え

前週末のドル指数は高値圏でもみ合い、0.025%高の101.47で取引を終えた。週間上昇率は6月半ば以来の大きさとなった。米10年債利回りは4.687%、FRBの政策金利見通しに敏感な米2年債利回りは4.342%となった。

米・イラン情勢の緩和を受けて原油価格が高値から下落すると、ドルと米国債利回りも直近の高値から小幅に低下し、主要通貨は対ドルで反発した。ただ、ドル指数と米国債利回りの下げ幅は限定的で、原油価格にも反発の兆しが見られる。市場心理は改善したものの、停戦が持続するかどうかについては慎重な見方が残っている。

金利市場が織り込む7月の米利上げ確率は、原油価格が前週に上昇したことを受け、1週間前の約13%から36.3%へ上昇した。利上げが確実視されているわけではないが、観測の強まりはドルと米国債利回りを支える材料となっている。

一方、7月21日までの週には、ドルのCFTC非商業部門ネットポジションが9週連続で増加し、2015年12月15日までの週以来の水準に達した。持ち高がドル買い方向に大きく傾いているため、FRBが政策姿勢を軟化させた場合には、ドルロングの巻き戻しによる下押し圧力が強まる可能性がある。

米・イラン双方が攻撃停止、米・EU通商問題も焦点

トランプ米大統領はイランへの空爆停止を命じ、イラン側も対抗攻撃を停止した。イランの高官筋は、米国が停戦状態を維持する限り、イランも攻撃を停止すると述べた。サウジアラビアのメディアによると、イラン側は交渉から離脱しておらず、ジュネーブなどで米国との協議を続ける用意があるとしている。

イランは、ホルムズ海峡の航行管理を巡るオマーンとの協議に進展があったと説明した。一方、イランのメディアは、ホルムズ海峡でタンカーが機雷に接触して爆発したと報じた。イラン当局者は、ホルムズ海峡の施設について「現在は空である」と述べた。

カタール運輸省は、7月26日からすべての海上輸送と船舶の航行を全面的に再開すると発表した。サウジアラビアは、多国籍連合がイエメンのフーシ派を攻撃したことを確認した。

このほか、トランプ氏は欧州連合(EU)が米企業を「略奪している」と主張し、通商法301条に基づく調査を開始したうえで、大規模な関税を課す可能性を示した。

米耐久財受注とダラス連銀指数を確認

26日21時30分(日本時間)に米国の6月耐久財受注(前月比)、23時30分に米国の7月ダラス連銀製造業活動指数が発表される。

今週はFRBと日銀の金融政策決定に加え、米国の4~6月期国内総生産(GDP)速報値、個人所得・個人支出、コアPCE物価指数、雇用コスト指数などの発表も予定されている。

海外市場の見方を踏まえた為替相場分析

本章では、海外金融機関や市場関係者の見解を参考にしながら、為替相場に対する主な見方を整理する。各見解は、公開情報をもとにRYOEXリサーチチームが要約・再構成したものであり、特定の機関や人物がRYOEXの見解を支持・推奨するものではない。

デービッド・スカット氏|ドル・円は日米金融政策と経済指標が焦点

デービッド・スカット氏は、前週のドル・円が予想通り上方向に抜け、数十年来の高値まで上昇したと指摘する。今週さらに上値を伸ばすかどうかは、FRBと日銀の政策決定や日米の経済指標に左右されるとの見方である。

水曜日のFRBによる政策金利の決定は、今週最大のリスクイベントとなる。翌日物金利スワップ市場は、利上げ確率を約3分の1と織り込んでいる。今回は経済見通しや政策金利見通しを示すドットチャートの公表がなく、判断材料は声明文とウォーシュFRB議長の記者会見に限られる。

声明文が6月と同様に「委員会は物価安定を実現する」といった簡潔な内容にとどまれば、政策の先行きを巡る不透明感が増す可能性がある。ウォーシュ氏はフォワードガイダンスを示さず、市場が中央銀行からのシグナルではなく経済指標を評価することを重視する姿勢を繰り返し示している。FRBが政策金利を据え置いた場合、市場が相応の利上げ確率を織り込んでいるだけに、ドルには売り圧力がかかる可能性がある。その後の反応は、声明文のトーンとウォーシュ氏の質疑応答に左右されるという。

日銀の政策決定では政策金利の据え置きが予想されており、更新される経済・物価見通しと植田和男総裁の記者会見が焦点となる。日銀は4月、2026年度の成長率見通しを引き下げる一方、コア消費者物価指数(CPI)の見通しを1.9%から2.8%へ引き上げ、物価見通しのリスクは上方向に偏っているとの判断を維持した。

日本は輸入エネルギーへの依存度が高く、原油と液化天然ガス(LNG)の価格上昇は、国内の物価上昇圧力を強めるだけでなく、交易条件を悪化させ、円の逆風となる可能性がある。火曜日に公表されるコアCPI関連指標は、補助金などの政府措置による影響を除き、基調的な物価動向を示す。日銀は前回会合で、円安と輸入価格の上昇が物価を押し上げる可能性を理由に、物価リスクが上方向に偏っているとの判断を維持した。エネルギー価格の上昇によって、この見方が強まるかが注目される。

米国の4~6月期GDP速報値は、米・イラン間の戦闘期間を含む米経済の幅広い動向を初めて示す指標となる。木曜日には6月の個人所得、個人支出、コアPCE物価指数も発表される。特に個人所得と個人支出については、所得の伸びが支出を支えられるか、家計が貯蓄をさらに取り崩す必要があるかが焦点となる。

金曜日の雇用コスト指数が市場予想を上回れば、サービス価格の粘着性に対する懸念が強まる可能性がある。エネルギー価格が上昇するなか、追加的な物価上昇圧力となり得るためだ。米企業決算ではマイクロソフト、Meta、アマゾンが注目され、業績悪化が加速すれば、リスク回避の動きが強まり、キャリートレードの巻き戻しにつながる可能性がある。

ジュリアン・ピネダ氏|欧米金利差がユーロの重荷に

ジュリアン・ピネダ氏によると、欧州中央銀行(ECB)は前週の理事会で、中銀預金金利を2.25%、主要リファイナンス金利を2.40%に据え置いた。声明では、慎重に状況を見極める姿勢を維持した。

ECBは物価上昇圧力が残る可能性を指摘する一方、欧州経済の勢いは継続的な利上げを支えるには不十分となる可能性があるとした。今後の政策については中立的な姿勢を示し、経済指標に基づいて会合ごとに判断すると改めて説明した。短期的な政策運営について、あらかじめ明言することも避けた。

ECBの中立姿勢は、ユーロの相対的な魅力を大きく高めるものではなかった。ECBが追加利上げの見通しを明確に示さない一方、FRBは今後数カ月間に、より積極的な政策姿勢を取る可能性を示しているためである。

米10年債利回りが4.6%を上回る一方、欧州の債券利回りは3.6%近辺にとどまっている。欧米債券市場の利回り差はドル建て資産に有利な状態にあり、短期的にはユーロ需要を抑える可能性がある。金利差が変わらなければ、今後数営業日のユーロ・ドルには売り圧力が続く可能性があるという。

ギレス・ゲズー氏|豪ドルは底堅いが、外部環境への依存度が高い

ギレス・ゲズー氏は、豪ドルに対する緩やかな強気見通しを維持している。魅力的な利回り、健全な制度、オーストラリアのAAA格のソブリン信用格付けに加え、景気後退を回避している経済環境が豪ドルを支えている。投機筋のネットショートも高い水準にあり、投機主導による大規模な追加売りの余地は限られているという。

もっとも、足元の環境は年初ほど良好ではない。住宅市場は減速し、個人消費は弱まり、生産性も低迷している。中国経済は安定に向かっているものの、再加速には至っていない。地政学リスクと米金利がさらに上昇するとの見方も、ドルを支える要因となっている。

このため、豪ドル・ドルの0.7000近辺は単なる上値抵抗ではなく、値動きの中心となる可能性がある。米国のインフレ率が低下を続け、米・イラン間の緊張が緩和すれば、0.7200~0.7500へ持続的に上昇する可能性が高まる。反対に、原油価格が再び上昇し、FRBが追加的に金融政策を引き締めれば、0.6900を割り込む可能性がある。

主なリスクは、オーストラリアの利回り面の優位性だけで豪ドルを継続的に支えられるとみなすことにある。安定した市場環境ではキャリートレードが豪ドルを下支えするが、リスク回避が強まるスタグフレーション環境では、ドルの流動性と安全資産としての需要が再び優勢になる可能性がある。

今後発表されるオーストラリアの物価・労働市場指標、エネルギー価格、米国の物価指標が、各シナリオの行方を左右する。豪ドルは足元で底堅さを保っているものの、次の大きな値動きはキャンベラよりも、ワシントン、テヘラン、北京の動向に左右される可能性が高いという。

ハレシュ・メンガニ氏|緊張緩和でドル需要後退、FOMC前は慎重姿勢

ハレシュ・メンガニ氏は、米国が13夜連続でイランの標的を空爆した後、前週末の金曜日夜に攻撃を停止したことで、テヘランも中東の米同盟国に対する報復攻撃を停止したと指摘する。

マイク・ウォルツ米国連大使は、米軍が高度な警戒態勢を維持し、いつでも行動できる状態にある一方、トランプ米大統領は交渉の余地を確保したいと考えていると述べた。これを受けて投資家心理が改善し、安全資産としてのドル需要が弱まった。

戦闘の沈静化に伴う原油価格の下落は、物価上昇への懸念を和らげ、FRBの利上げ観測も後退させた。これもドルの重荷となり、ドル指数は前週に再び試した月間高値近辺から離れた。

ただし、主要中央銀行の政策イベントを控え、ユーロ・ドルの一段の上昇を見込む動きは限られる可能性がある。FRBは水曜日、2日間のFOMCを終えて政策金利を発表する。市場は今後の政策経路に関する手掛かりを探るとみられ、その内容は短期的なドル相場を左右する可能性がある。中東情勢の推移も引き続きドル需要に影響し、ユーロ・ドルの値動きを左右する要因になるという。

TDセキュリティーズ|金利据え置きを予想、反対票の可能性も

TDセキュリティーズは、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が据え置かれると予想する。中東情勢の緊張による原油価格の上昇がインフレリスクを強め、追加利上げの根拠を補強したことは認めつつも、委員会の過半数の支持を得るには、なお追加の証拠が必要との見方を示した。

FOMC内ではタカ派的な見方が強まりつつあるが、ウォーシュFRB議長が今回の会合で明確な政策指針を示す可能性は低いとみている。一方、ハマック氏とローガン氏は金利据え置きに反対票を投じる可能性があるという。

為替市場の注目チャート

本章では、足元の為替相場を読み解くうえで参考となるチャートを取り上げ、金融政策や金利動向、市場心理の変化を整理する。掲載するチャートやデータは第三者機関の情報をもとにしたもので、RYOEXの見解や将来の価格動向を示すものではない。相場急変の可能性も踏まえ、十分なリスク管理を心がけたい。

米・イラン最終合意に対する予測市場の確率

予測市場では、米国とイランが8月31日までに最終的な核合意に達する確率は10%未満、年末までに最終合意を締結する確率は約33%となっている。双方は攻撃を停止し、交渉継続の意思を示しているものの、これまで対応を繰り返し変えてきたため、市場では停戦の持続性を疑問視する見方が残る。こうした見通しは、高値から下落した原油価格の下げ幅を抑える可能性がある。

7月FOMCにおける米利上げ確率

金利市場が織り込む7月の米利上げ確率は、1週間前の約13%から36.3%へ上昇した。利上げが市場の中心予想になったわけではないが、原油価格の上昇を受けた利上げ観測の強まりは、ドルと米国債利回りを支える要因となっている。

ドル指数と米国債利回りは直近高値から小幅低下

米・イラン双方が攻撃を停止したことを受け、ドルと米国債利回りは直近の高値から小幅に低下し、主要通貨は対ドルで反発した。ただし、ドル指数と米国債利回りの調整幅は限定的で、原油価格にも反発の兆しがある。市場心理は改善したものの、最終的な和平の実現については慎重な見方が残っている。

ドルのCFTC非商業部門ネットポジションは9週連続で増加

7月21日までの週に、ドルのCFTC非商業部門ネットポジションは9週連続で増加し、2015年12月15日までの週以来の水準となった。持ち高がドル買い方向に大きく傾いていることを示す一方、FRBが政策姿勢を軟化させれば、ドルロングの巻き戻しによる売り圧力が強まる可能性もある。もっとも、原油価格が高止まりし、米・イラン情勢も不安定なため、年末までの米利上げ観測が後退しない限り、ドルは主要通貨に対する優位性を保つとの見方がある。

まとめ

米・イラン情勢の緩和と原油価格の下落を受け、ドルと米国債利回りは直近の高値から小幅に低下した。ただ、市場は停戦の持続性に確信を持てず、7月の米利上げ観測と欧米金利差もドルを支えている。一方、ドルロングへの持ち高の偏りは、FRBが想定より慎重な姿勢を示した場合の巻き戻しリスクとなる。今週はFRBと日銀の政策決定、日米の物価・成長関連指標、中東情勢と原油価格の推移が、主要通貨の方向を左右する焦点となる。

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