生保の国内債含み損30兆円、金利上昇で株式益を逆転
国内債の含み損が拡大
日本経済新聞が主要生保14社を対象に実施した6月末時点の保有資産アンケートでは、回答した13社の国内債券の含み損が30兆8690億円となり、1年前から60%増えた。国内株式の含み益は30兆318億円で、48%増だった。
金利上昇が減損を誘発
背景には国債利回りの上昇がある。生保の主な運用先である満期30年の国債利回りは26年6月末に3.9%台と、含み損が膨らむ前の23年6月末から2.7%ほど上昇した。日銀の追加利上げ観測や政府の財政拡張への懸念を背景に、7月以降も上昇基調が続いている。
生保は将来の保険金支払いに備えて超長期国債を保有している。満期まで持てば含み損は解消するが、債券時価が取得価格を50%以上下回ると減損処理が必要になる。26年4〜6月期には日本生命保険が約440億円、明治安田生命保険が253億円の減損損失を計上した。低金利だった10年代後半に買った銘柄の一部は、足元の金利上昇で減損ラインに達している。
解約増と運用収益
満期前の売却を迫られるリスクもある。生保は資産と負債の市場変動を一体管理するALMを徹底しており、資産と負債のデュレーションが一致していれば、金利上昇時に双方の時価評価が下がるため影響は限定的だ。ただ、資産の年限が負債より長い場合は純資産が目減りし、財務健全性の悪化につながる。資産の年限を縮めるために債券を売れば、含み損が実現損に変わる。
最大の懸念は保険の大量解約だ。金利上昇や株高を背景に、利回りの高い保険商品や投資信託への乗り換えが進めば、解約返戻金の支払いに向けて資産売却が必要になる。26年4〜6月期は一部で解約率が上昇し、ソニー生命保険の解約失効率は1.4%と前年同期比0.2ポイント上昇した。急速な円安で外貨建て保険の解約が増えたほか、銀行窓販に強いT&Dフィナンシャル生命保険も1.56%と0.88ポイント悪化した。ソニーフィナンシャルグループの早川禎彦最高財務責任者(CFO)は、解約動向の注視がこれまで以上に必要だとの認識を示した。
一方で、26年4〜6月期の収益は総じて堅調だった。主要14社の単体ベースの基礎利益は計9518億円と、前年同期比37%増えた。14社のうち12社が増益だった。金利上昇で保有債券の利息収入が増えたほか、株式の配当収入も伸びた。
各社は運用収益の上積みに向け、高利回り債券への入れ替えを進めている。株式保有が多い大手生保は、低利回り債券の売却損を株式の売却益で相殺しやすいが、中堅以下では株式をほとんど持たない会社も多い。運用力の差が、今後の収益格差を広げる可能性がある。
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