海外資金が国内住宅市場に流入、ブルックフィールドは1千億円超で取得
海外マネーが住宅市場を押し上げ
国内の住宅市場に海外投資マネーの流入が続いている。カナダの投資ファンド、ブルックフィールドはこのほど、首都圏、大阪圏、名古屋市、福岡県にある賃貸マンション50棟、計3700戸を1000億円超でまとめて取得した。住宅投資では初参入となる。
同社はインフラや不動産投資で世界有数のファンドで、東京・汐留の電通グループ本社ビルなどにも投資してきた。今後数年で日本に100億ドル(約1兆6000億円)以上を投じる計画を掲げており、今回の取得はその一環となる。取得物件にはサムティが開発した高級マンションシリーズ「S-レジデンス」などが含まれる。2026年に入ってからの国内最大の住宅取引だ。
単身者向け需要に着目
対象物件は主に単身者向けの賃貸で、交通アクセスの良い都心部に立地するものが多い。平均築年数は4年未満と新しく、一般的な不動産投資より高い利回りを見込めると判断した。
アットホーム(東京・大田)によると、単身者向けの30平方メートル以下のマンションの6月の平均家賃は東京23区で11万4242円となり、前年同月比12.4%上昇した。25カ月連続で最高値を更新している。福岡市は15.9%上昇と伸びが大きい。ファミリー向けの50〜70平方メートルの物件でも2桁の上昇が続く。
投資額は過去最大圏
シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)によれば、1回の住宅取引で1000億円を超えた案件は国内で過去4件しかない。過去最大は2020年に米投資ファンドのブラックストーンが実施した賃貸マンションの一括購入で、大都市圏の220棟に3000億円規模を投じた。
住宅投資はファンド勢の間でなお活発だ。2025年には米ウォーバーグ・ピンカスが都心近郊のシェアハウス群を一括で取得した。かつて運営会社の破綻で社会問題化した「かぼちゃの馬車」で使われた物件で、現在は別ブランドとして再生されている。ウォーバーグは2026年、学生マンション大手ジェイ・エス・ビーの買収も決めている。
CBREによると、2025年の国内住宅投資額は前年比86%増の約9800億円だった。遡れる2005年以降で最大で、コロナ禍前の2010〜19年に年平均3900億円程度だった水準から大きく切り上がった。2026年1〜6月も約3800億円と前年同期比3%減にとどまり、高水準を維持している。
価格上昇は一服感
中古マンション価格は建築資材や人件費の高騰を反映し、ここ数年で急上昇した。円安を背景に流入した国内外の投資マネーが需要を支え、日本人の平均所得の伸びを上回る勢いで値上がりが進んだ。
海外主要都市でも不動産価格は上がっており、日本の物件がグローバルには割安に映った面もある。人工知能(AI)ブームを背景にした世界的な株高も追い風になった。
ただ、上昇基調には息切れの兆しも出ている。東京カンテイ(東京・品川)によると、東京23区の中古マンション平均希望売り出し価格は6月、70平方メートルあたり1億2741万円と前月比0.8%下落した。下落は26カ月ぶり。
都市部の優良物件に対するファンドの投資意欲はなお強く、価格の下支え要因になりそうだ。外資マネーの流入は不動産価格の急落リスクを抑え、それが新たな資金を呼び込む構図が続いている。
この記事が役に立ったら、ぜひシェアしてください。