台湾高鉄、新型N700ST導入で輸送力増強へ
新型車両の到着
台湾高鉄に新型車両が到着し、15日に高雄港で式典が開かれた。2027年7月から順次営業運転を始める計画で、開業20年を前に再び設備投資を進める。
N700Sを基に設計
台湾南部・高雄港では15日、白地にオレンジと黒の帯をまとった新型車両「N700ST」がクレーンで吊り上げられ、雨の中ゆっくりと姿を見せた。港に降ろされると、集まった日台関係者から拍手が起きた。
新型車両は東海道新幹線などで使われる「N700S」をベースに設計した。日立製作所と東芝の企業連合が山口県の日立製作所工場から出荷したもので、騒音や振動を抑えるほか、停電時に自走するための補助電源も備える。
車内にはカラー液晶の案内表示や大型荷物置き場を設けた。全12編成で契約総額は1240億円。27〜28年に順次稼働し、ピーク時の輸送能力を25%高める。
成長投資に転じる
台湾高鉄の史哲董事長は式典で「新型車両の導入は新たな挑戦の始まりだ」と述べた。ダイヤ改正を進める一方、開業時と同水準のままの運賃の見直しも検討する考えを示した。
台湾高鉄は台北から新竹、台中などを経て高雄まで台湾西部を縦断し、約350キロを最速1時間半で結ぶ。新竹市の企業に勤める女性は「週末は毎週のように地元の台北に戻っている」と話した。
利用拡大と延伸計画
通勤定期は自由席料金の49%相当と割安に設定されており、台北から乗車時間30分ほどの新竹駅に通う会社員も多い。半導体関連を含む工場建設が台湾南部で続き、利用客の増加も見込まれる。25年の利用者数は8200万人強に達した。
ただ、歩みは平たんではなかった。07年の開業後は巨額の債務に苦しみ、15年以降は台湾当局主導で財務再建に着手した。公的資本が主導する半官半民の体制を維持し、16年に台湾株式市場へ上場した。新型コロナ禍も乗り越え、収益性と財務体質の改善が進んだ。1〜3月の利用者数は1日あたり23万2000人と、前年同期比5%増えた一方、ピーク時の混雑は課題になっている。
26年7月には南港駅から宜蘭県への延伸が承認され、11年後の開業を予定する。左営駅から在来線の高雄駅を経由して屏東県まで延ばす計画もあり、環境評価の手続きが続く。延伸区間は台湾当局主導で整備される見通しで、巨額の事業費に加え、用地取得や工期管理が課題となる。史董事長は「台湾の歴史を大きく形づくった20年だった」と述べ、台湾高鉄は開業20年を前に再び成長投資の局面に入る。次の20年は輸送力の拡大と採算性の両立が焦点となる。
この記事が役に立ったら、ぜひシェアしてください。