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戦略17分野の柱に半導体 高市政権、68兆円投資へ

高市政権、半導体に68兆円 ラピダス支援を加速

戦略投資の柱

高市早苗政権は、戦略17分野の柱に半導体を据えた。官民投資のロードマップでは、2040年度までに68兆円を投じる計画を示し、全分野の投資額の6分の1に相当する規模とした。生成AI向けの最先端分野に照準を合わせ、日の丸半導体の復活を狙う。

ラピダスを中核に

象徴的な存在が、北海道千歳市に製造工場を構えるラピダスだ。自民党の半導体戦略推進議員連盟の山際大志郎会長は「来年の量産化は絶対に失敗するわけにはいかない。必要な資金額がしっかり提供されるよう、政府として準備する必要がある」と強調した。ラピダスは、AIの推論や学習、計算に使う先端ロジック半導体の量産を計画する。

政府は26年までに研究開発委託費として約2.4兆円の供給を決めており、債務保証を通じて民間融資も呼び込む。官民一体での育成を続ける構えだ。

世界市場の拡大

政府・自民党が半導体支援を急ぐ背景には、生成AIの普及で世界市場が急拡大していることがある。世界半導体市場統計(WSTS)は、2026年の世界市場が1兆5112億ドルに達すると予測する。25年比では90%増となる。

韓国では先端品を手がける企業の投資競争が激しい。サムスン電子とSKハイニックスは6月、韓国国内に4つの半導体工場を建設すると発表し、投資額は計800兆ウォン(約90兆円)に上る。米国でも、バイデン前政権で成立した半導体産業育成策「CHIPS・科学法」により、500億ドル(約8兆円)超の補助金を投じる動きが進んでいる。

日本の勝算と課題

日本の戦略は、AIの進展を見据えて最先端分野へ集中投資することにある。山際氏は「生成AIがどう進化するかは誰にも予見できないが、さらに性能の高い最先端のチップが必要になることだけは分かっている」と話す。

ラピダスに加え、キオクシアはデータの長期保存に使うNAND型フラッシュメモリーを生産する。フラッシュメモリーは高速の読み書きに適し、AIの推論用途でも需要が広がる。半導体設計では富士通が先端品の開発を進める。

政府は海外企業の投資も取り込んできた。米マイクロン・テクノロジーは28年後半に高速・大容量の広帯域メモリー(HBM)の先端品などを生産する。台湾積体電路製造(TSMC)は2月、建設中の熊本第2工場(熊本県菊陽町)で生産する半導体を6ナノ品から3ナノ品に変更する計画を高市首相に伝えた。

リスク管理と地政学

日本企業は1980年代、半導体の販売額で世界首位だったが、日米半導体協定や国際競争の激化を背景に競争力を失った。山際氏は「過去は政府の関与は極力少ない方がいいという風潮だったが、今は違う」と語る。

経済財政諮問会議の民間議員を務める永浜利広氏は、巨額投資にはリスク管理が欠かせないとみる。「PDCAサイクルを回すなかで、厳しいなら撤退を決めるなど柔軟に対応する必要があるだろう」と指摘する。経済産業省には、国の支援後に経営破綻したエルピーダメモリの記憶も残る。

永浜氏は「日本の素材や製造装置に世界が依存せざるを得ないような状況をつくるのが重要だ」と述べ、強みのある分野への支援を優先すべきだと訴える。半導体戦略推進議連の関芳弘事務局長も「半導体産業の競争は国際社会における優位性の握り合いだ。価値観を共有する各国と協力する必要がある」と話す。信頼できる国家との協調は、日本の製造業全体の強靱性向上にもつながる。

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