米財務長官、円安の波及警戒し日米協調介入の意図を説明
円安の波及を警戒
ベッセント米財務長官は4日、日本経済新聞の単独インタビューで、通貨売りがアジア全域に広がる懸念から、円買いの協調介入に踏み切ったと明らかにした。米政権内では、日本の金利上昇を巡る不安や財政の安定を求める声も出ている。
同氏が日本経済新聞の単独インタビューに応じるのは、日米が関税交渉で合意した2025年8月以来、2回目となる。米財務省内の長官室で、7月30日以降に実施した日米協調介入の意図などを説明した。
円買い介入の理由について、ベッセント氏は「多くのアジア通貨が円と連動している。1990年代のアジア通貨危機は大幅な円安が引き金となった」と述べた。円売り圧力が他のアジア通貨に波及する可能性を警戒した格好だ。1990年代後半には円が1年間で対ドルで30円下落し、タイやマレーシアなどの通貨危機を悪化させた。同氏は足元についても「円が弱いため韓国ウォンも弱く、中国も人民元の切り上げに消極的になっている」と指摘した。
「アベノミクス」から「タカイチノミクス」へ
ベッセント氏は安倍政権以降の経済改革について、リフレ政策に取り組み、資本収益率を高める企業改革も進めたうえ、基礎的財政収支も黒字になると評価した。そのうえで「15年間という景気刺激が持続的で強固な経済基盤をつくった。アベノミクスの段階は終わり、タカイチノミクスの時期だ」と語った。長期にわたる大規模な金融緩和が円安の一因となるなか、日本に低金利政策からの転換を促す発言とみられる。
米政権内で消費減税に慎重論
市場では日銀の早期利上げが織り込まれている。ベッセント氏は利上げを直接求めることは避けながらも、「植田和男総裁とは15年来の付き合いで、市場感覚に非常にたけており、深く信頼している」と述べた。
高市首相は食品の消費税率を8%から1%に引き下げる減税を実施する方針だ。日本の財政に対する市場の懸念は長期金利上昇の一因となっている。日米協調介入の詳細を把握する米政府高官は、「決断は高市政権がすべきだが、2つの選択がある。減税を受け入れるか、インフレ率の引き下げに努めるかだ。私なら後者を選ぶ」と述べ、消費減税への慎重な見方を示した。さらに、日本はエネルギーなどの輸入依存度が高く、「円安はインフレを加速させる」と指摘した。
ドル売り介入も選択肢
日米協調介入の今後について、米政府高官は「ドル売り介入も含め、あらゆる選択肢を排除しない」と述べた。今回の協調介入で円買い・ユーロ売りを用いた理由については、米国の強いドル政策に疑念を持たれるのを避けるためだったと説明した。
日本の三村淳財務官は今回の介入プロセスを「日米通貨同盟の最終形」と表現した。介入に参加する枠組みの拡大について、米政府高官は「主要7カ国(G7)のなかには、その意欲を示す国もあると思う」と述べた。
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