ゼレンスキー氏がスビリデンコ首相交代へ 汚職批判の沈静化狙う
内閣再生を表明
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、スビリデンコ首相を交代させる考えを示した。2025年に発覚した汚職事件を受けた政権批判が続く中、人事刷新で求心力の立て直しを図る狙いがある。
ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)に「内閣の再生が必要だと決断した」と投稿した。内外の幅広い課題に対処するため、国会議員とともに政府に変化をもたらすと強調した。
後任候補と政権内の緊張
ゼレンスキー氏はスビリデンコ氏の実績に謝意を示したうえで、今後は主要パートナー国との関係を担う重要な役割を提案した。地元メディアは、駐米大使のポストを打診したと伝えた。
後任候補には、フェドロフ国防相、シュミハリ第1副首相兼エネルギー相、国営ナフトガス最高経営責任者(CEO)のセルヒー・コレツキー氏らが挙がっている。スビリデンコ氏は25年7月に首相に就任しており、約1年での交代となる。
新内閣の課題
新政権はロシアとの長期戦をにらみ、米国との関係強化と継戦能力の維持を迫られる。ゼレンスキー氏は、米国と合意した防空システム「パトリオット」ミサイルのライセンス生産や、欧州連合(EU)との加盟交渉を外交の優先課題に据えた。
無人機を含む兵器の増産体制を整えるほか、需要期の冬に向けてエネルギー施設の防衛にも注力するとした。さらに「司法機関のトップについても交代がある」と述べ、反汚職活動家への強引な捜査で批判を浴びる国家捜査局の人事が取り沙汰されている。
政権基盤の揺らぎは、2025年11月に発覚した国営原子力企業エネルゴアトムをめぐる大規模な汚職事件で一段と強まった。スビリデンコ氏の後見役とみられていたイエルマーク前大統領府長官は関与を疑われて失脚した。
大統領府への権力集中は見直され、最高会議(議会)の発言力が増した。汚職スキャンダルに反発する与党「国民の奉仕者」の一部議員は重要法案で政権に造反する例が目立ち、ゼレンスキー氏は多数派工作を強いられていた。
政治アナリストのアナトリ・オクティシュク氏は、与党の有力議員が法案成立への協力と引き換えにスビリデンコ氏の解任を求めたと指摘した。「一部議員は自らに近いシュミハリ氏の首相就任を求めている」と述べた。
スビリデンコ氏は12日、自身の辞任を認めたうえで、SNSに「ウクライナを強固にするためにすべての勢力が結集することが重要だ」と投稿した。
この記事が役に立ったら、ぜひシェアしてください。