BYDが約9分充電の新型EV電池を中国で披露
BYDの充電性能、実地で確認
中国・比亜迪(BYD)は、電気自動車(EV)の充電時間をガソリン車の給油に近づける目標を掲げている。3月に約9分で満充電になる新型EV電池を発表し、記者が中国で実際の充電性能を確かめた。
新型電池と充電体験
BYDが3月に刷新したのは、EV向けリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「刀片電池(ブレードバッテリー)」だ。電池残量10%から満充電にあたる97%まで、およそ9分で充電できるとしている。
北京市内の販売店では、併設の充電器で試す機会を得た。対象車両は高価格帯ブランド「騰勢(DENZA)」の新型EV「Z9GT」で、航続距離は最大1036キロメートル。充電器は軽く、ケーブルもつり下げ式のため、コネクターを差し込む負担は小さかった。接続後、約8秒で充電が始まり、カードやアプリを使わない「プラグ・アンド・チャージ」に対応していた。
加速する充電と普及戦略
車内ディスプレーと充電器のモニターで状態を確認でき、充電は急速に進んだ。10%から1分で24%まで回復し、走行可能距離は244キロメートルに達した。その後も速度は大きく落ちず、3分で50%、500キロメートル分を充電。最終的に9分24秒で976キロメートル分の充電を終えた。
対象車種は1年間無料のため料金はまだ公表されていない。今回試したのは高価格帯モデルだったが、超急速充電は普及価格帯のEV「シール」や「アット3」の新型にも対応する。BYD担当者は、ガソリン代の上昇を背景に日系メーカーのガソリン車からの乗り換えが増えていると説明した。
BYDは充電速度を給油並みに近づける「油電同速」を掲げ、最大出力1500キロワットの充電器を2026年末までに2万カ所へ設置する計画だ。4月末時点では5000カ所超を整備済みという。中国では電池競争も激しく、CATLは4月に約6分で満充電状態にできるEV電池を発表している。
日本ではBYDやCATLの高性能電池はまだ市場に出ておらず、高出力充電に対応するインフラ整備も遅れている。新車販売に占めるEV比率は約2%にとどまる。給油に近い速度が実現すれば、集合住宅住まいの利用者や長距離移動が多い人にとってEVの使い勝手は高まり、普及の障害の一つが和らぐ可能性がある。
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