中東情勢の緊迫、指定ゴミ袋と焼却業務に波及
中東情勢の緊迫で、自治体のゴミ収集や焼却業務に影響が広がっている。ナフサ供給不安を背景に指定ゴミ袋が品薄となり、素材変更や代替袋の受け入れといった対応が相次いだ。焼却施設では重油不足の懸念も強まっている。
指定ゴミ袋の品薄広がる
「連休明けに指定ゴミ袋が店頭から消えた」。群馬県伊勢崎市の量販店担当者はこう話す。市内の別の店舗には、入荷時期を尋ねる電話が1日20件以上寄せられているという。同市では4月以降、指定ゴミ袋の販売量が前年の2倍に増えた。収集量は増えておらず、一部住民による買い占めが背景にあるとみられる。
千葉県市原市内の食品スーパー、Tマートは4月下旬から購入制限を導入した。30リットルは1家族2点、45リットルは1点までとしたうえで、担当者は「在庫を切らさないよう小出しで陳列している」と説明する。
伊勢崎市や市原市は、規定を満たした一般のビニール袋などに入れたごみも収集する臨時措置を取る。ホームセンター大手のカインズ(埼玉県本庄市)によると、自治体指定袋だけでなく市販品の需要も増えているという。担当者は「品薄は全国的な傾向だ」と話す。
素材変更と入札難も
指定ゴミ袋の素材やデザインを見直す動きも出ている。愛知県大府市は7月をめどに、材料を「ストレッチフィルム」という包装部材の再生材へ切り替える。同市は、製造コストは上昇する可能性がある一方、国内で発生するフィルムを使うため調達は安定すると説明する。
沖縄県与那原町は、ゴミ袋への印刷を一時的にやめ、袋全体を青や赤に着色して「もやす」「もやさない」を区別する方式に変えた。印字に必要なシンナーの不足を踏まえ、製造への影響を抑える狙いがある。
入札でも価格高騰が自治体を悩ませている。岡山県総社市では4月の入札で全指名業者が辞退したため、応募条件を緩和して5月13日に再入札を実施し、海外製を扱う事業者に決めた。ただ、納期は見通せず、7〜8月に品薄となる恐れがある。
新潟県聖籠町は予備費を投じて予定価格(上限額)を引き上げ、上限内で落札を得た。年70万枚を全世帯に無料配布する方針は維持する。
焼却施設にも重油高騰の影響
ゴミ焼却炉で使う重油価格の上昇も影響を及ぼし始めた。富山県砺波市と南砺市が共同運営する焼却施設では4月、2基ある焼却炉のうち1基を停止した。従来は定期停止して整備していたが、着火に使う約250リットルの重油を節約するため、1基を常時稼働させる運用に切り替えた。
中東情勢が長期化すれば、さらなる影響も懸念される。同施設では残る重油の確保分が5回分しかなく、担当者は「入荷のめどが立っていない」と明かす。
東洋大学の山谷修作名誉教授は、指定ゴミ袋の品薄について「有料の指定袋は市民のゴミ減量や分別を促す効果があり、指定外袋の使用は環境意識の緩みにつながる懸念がある」と指摘する。そのうえで、「自治体は製造コストの低いシール(手数料証紙)を市販袋に貼るなど、柔軟な方法を取り入れるべきだ」と述べた。
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