高市・李両首脳、原油共同備蓄で合意へ パワー・アジア活用
原油調達
高市早苗首相と韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は19日の日韓首脳会談で、原油調達をめぐり共同備蓄を含む協力体制の構築で合意する。日本主導で創設した東南アジアとのエネルギー協力の枠組み「パワー・アジア」を活用する。
首相は19〜20日にシャトル外交の一環として韓国を訪問する。李氏の故郷である韓国南東部・安東(アンドン)で首脳会談を開く。
パワー・アジアは首相が4月に提唱した。石油の備蓄が手薄なアジア諸国の体制整備を後押しする構想だ。アジアの企業が中東以外から原油を調達する際は、国際協力銀行(JBIC)などを通じて資金援助する。日韓は金融支援に加え、備蓄システムの構築に向けた技術支援にも取り組む。
ナフサ確保
医療物資などの材料となる石油製品のナフサ(粗製ガソリン)は、世界的な調達不足への懸念が広がっている。医療物資の供給元である東南アジア各国への原油支援を通じ、関連物資の確保を目指す。
日韓はいずれも自国資源に乏しく、中東からの原油輸入に依存する。原油調達に苦労する東南アジアを支援する姿勢を示すことで、アジアでの存在感を高める狙いがある。日韓の実利外交の成果にもつながる見通しだ。
中東情勢の混乱は、日韓双方の同盟国である米国との関係にも影を落とす。米国の関心が中東に偏れば、アジアへの関与が薄まるとの危機感がある。米国が中国に接近し、東アジアの安全保障環境に影響する懸念も残る。
対中連携
日韓首脳は今回、14、15両日に北京で開いたトランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の会談についても情報を共有する見込みだ。首相と李氏はそれぞれ、トランプ氏から電話で習氏との会談について報告を受けた。
日本は中国を念頭に置いた経済安全保障や防衛協力でも韓国に期待する。中国を抑止するため、オーストラリアやフィリピンなどの同志国との連携も深めている。韓国も同様に米国の同盟国であり、こうした枠組みに取り込みたい考えだ。物品役務相互提供協定(ACSA)や防衛装備品の移転協定も視野に入る。
中韓関係は在韓米軍の迎撃ミサイル配備問題などを背景に長く冷え込んできた。李政権は改善を探るが、国民世論には威圧的な中国への不信が根強い。
シャトル外交は2004年、当時の小泉純一郎首相と盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が始めた。歴史問題や竹島の領有権を巡る対立で、相互往来が途切れる期間の方が長かった。直近では12年の李明博(イ・ミョンバク)大統領による竹島上陸を受け、11年間途絶えていた。
米国はこれまで、対立しがちな日韓関係を仲介する役割を担うことが多かった。在韓米軍と在日米軍は一体運用されており、日韓の連携は欠かせない。足元では、日韓が自発的に接近する構図が強まっている。トランプ氏は多国間協調への関心が薄く、日米韓が23年に申し合わせた毎年1回の首脳会談は停滞したままだ。
韓国は6月3日投開票の統一地方選を控える。李在明氏はかつて日本に強硬姿勢を示した革新系政治家だが、25年の大統領就任以降は「実用外交」を掲げ、対日関係の改善に実益を見いだしている。今回の首相訪問も韓国側の要望で実現する。
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