補正予算検討表明で国債売り拡大、10年債は2.8%
補正予算観測で国債売り強まる
日本国債の利回り上昇が止まらない。高市早苗首相が2026年度補正予算の編成を視野に入れると表明したことで、財政悪化への懸念が広がり、幅広い年限で国債が売られた。
10年債は29年ぶり高水準
18日の国内債券市場では、新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上昇し、29年半ぶりの高水準となった。前週末比では一時0.1%上げた。
財政リスクに敏感な残存期間10年超の超長期債は特に売りが目立ち、30年債利回りは一時4.2%と0.145%上昇。40年債も0.11%高い4.345%まで上げ、いずれも連日で最高を更新した。
補正予算の可能性が意識された背景には、政府の姿勢変化がある。首相は18日、26年度補正予算案の編成を視野に財政措置の検討に入ったと明らかにした。月内にも編成の是非を判断する考えで、首相官邸で開いた政府・与党連絡会議では、与党に夏の電気・ガス料金の補助策を検討するよう要請した。
首相は、長引く中東情勢の混乱を踏まえ「経済活動や国民の暮らしに支障が生じないよう適切に判断し、必要に応じてタイムリーに対応する」と述べた。そのうえで、「補正予算の編成を含め、資金面の手当てを検討するよう(大型)連休前には事務方に、先週には片山さつき財務相に指示した」と説明し、「リスクの最小化の観点から万全の備えをとる」と強調した。
市場の反応が大きかったのは、原油高が続くなかでも政府がこれまで補正予算の編成を否定してきたためだ。首相は11日時点でも「編成が直ちに必要な状況とは考えない」と述べていた。
赤字国債案も浮上
3月に再開したガソリンなどの価格抑制補助金は、原資となる基金が6月にも枯渇するとの見方がある。7〜9月分を念頭に電気・ガス料金の支援再開も見込まれ、26年度予算の予備費1兆円では対応しきれない可能性があるとの想定が出ている。
政府内では、補正予算を編成する場合の財源として赤字国債の発行案も浮上している。5月時点では、今年度の税収見積もりを見直すほどの材料がないためだ。BNPパリバ証券の井川雄亮マーケットストラテジストは「拡張的な財政がどこで収束するのか不透明になっている」と指摘する。
国債利回りは、積極財政を掲げる高市政権の下で上昇基調が続いてきた。25年10月に高市氏が自民党総裁に就任する直前には、10年債が1.66%、30年債が3.15%だった。足元の上昇で、総裁選出前からの上げ幅は1%前後に達している。
財政拡張への警戒を映した金利上昇は、世界的な流れでもある。与党の地方選大敗を受けて政治不安が強まる英国では前週、30年債利回りが5.8%と28年ぶりの高水準を付けた。スターマー首相への退陣圧力が強まるなか、積極財政派のバーナム・マンチェスター市長が有力な対抗馬として浮上したことが背景にある。
米国でも30年債利回りが節目の5%を超え、1年ぶりの高水準をつけた。対イラン攻撃で国防関連支出が膨らむうえ、連邦最高裁が「トランプ関税」の法的根拠を否定したことで、輸入企業への巨額還付も始まる見通しだ。金融資産の投資尺度となる金利が一段と上昇すれば、市場の不安定化につながりかねない。
片山財務相は18日、訪問先のパリで記者団に対し、「あらゆるリスクを最小限にするようにと首相から指示されている」と述べた。JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「金利上昇が止まるのは株安が進行して債券への投資需要が高まる場合か、政府が財政の将来性をしっかりと示したときだ」と話す。
この記事が役に立ったら、ぜひシェアしてください。