住友鉱山と双日、中国依存回避へ東南アジアでレアアース供給網強化
日本企業が、中国に依存しないレアアース(希土類)の調達網を東南アジアで広げる。住友金属鉱山はフィリピン産原料を使い、燃料電池向けのレアアースを2割増産する。双日もオーストラリアの資源大手と組み、ベトナムやマレーシアなどで新鉱山の開発を進める。
調達先の分散を急ぐ
日本企業による脱中国サプライチェーンはこれまでオーストラリアが軸だった。そこに東南アジアを加え、調達先をさらに分散させる狙いだ。安定供給の基盤を強め、日本の製造業の競争力を下支えする。
燃料電池向け需要が拡大
住友金属鉱山は、燃料電池向けレアアースの一つであるスカンジウムを2026年度中に2割増産する。出資先のフィリピン鉱山で採れた鉱石を原料に、播磨事業所(兵庫県播磨町)で製品化する。同事業所では人員も増やす。
スカンジウムを燃料電池に使うと作動温度を下げられ、耐久性の向上につながる。人工知能(AI)データセンター向けの電力供給源として燃料電池への注目が高まり、スカンジウムの世界需要は25年に倍増した。
世界の供給量の8割は中国が占め、日本産は1割にとどまる。他にロシアやカナダも生産している。日本でスカンジウムを大規模に供給できるのは住友金属鉱山のみで、中国依存を避けたい欧米企業の需要開拓も視野に増産余地を探る。
中国依存回避が急務に
レアアースは埋蔵量の多い鉱床が中国に集中し、世界生産の約7割を中国が担う。日本を含む各国は長年、需要の大半を中国からの輸入に頼ってきた。中国政府はこうした構図を背景に、レアアースを対外的な圧力手段として使ってきた。
米中関係が悪化した25年4月には、スカンジウムを含む7種類のレアアースで輸出規制を始めた。さらに中国は26年1月、デュアルユース(軍民両用)規制に基づく対日輸出の規制強化を公表した。ジスプロシウムなど、高性能磁石向けに使う重要鉱物も対象に含まれたもようだ。
豪州での鉱山開発は進んでいるが、依然として中国依存は解消されていない。こうした中で東南アジアが新たな供給源として注目されている。未開発の有望鉱床が多いとされ、米政府も25年10月にタイやマレーシアとの間で重要鉱物の供給網に関する覚書を結んだ。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の担当者は東南アジアについて、レアアースのサプライチェーンや輸送面の条件に加え、埋蔵量の潜在力、政府開発援助(ODA)を通じた日本との長年の関係もあり有望だとみている。
双日、ライナスと新鉱山開発
双日は豪州資源大手ライナスと、ベトナムやマレーシアなどでレアアース鉱山を新たに開発する。双日がJOGMECと共同設立した「日豪レアアース」を通じ、3月に合意した。今後は鉱山開発に向けた地質調査を共同で進める。
製錬では、ライナスが保有するマレーシア拠点も活用する。現在は生産能力拡張に向けた工事を進めており、27年に完了する見通しだ。
双日は11年以降、JOGMECと複数回にわたりライナスへ出資してきた。高性能磁石に使うネオジムなど豪州産レアアースの輸入を進めており、足元では輸入品目も広がっている。ライナスは今後、別の鉱山の拡張も検討する。
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