メモリー5社の利益急増観測、15日開示のキオクシア決算に注目
株式市場では、生成AI(人工知能)ブームが半導体メモリー大手に巨額の利益をもたらすとの見方が強まっている。市場予想では、世界5社の今期純利益合計は前期比6倍の63兆円に達する見通しだ。空前のメモリー需要を見極める手掛かりとして、15日に発表されるキオクシアホールディングスの決算に世界の関心が集まる。
15日開示の決算が焦点
キオクシアは15日午後3時30分に2026年3月期決算を開示し、午後4時から決算説明会を開く。太田裕雄社長、河村芳彦副社長らが出席する予定だ。1〜3月期の実績に加え、需要動向を踏まえた今後の業績見通しが焦点となる。27年3月期については、4〜6月期のみの見通しを示す可能性がある。
AI投資が利益を押し上げ
半導体メモリーは、短期記憶向けのDRAMとデータ蓄積を担うNANDに大別される。両分野で高いシェアを持つ韓国サムスン電子、韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーに、NANDのキオクシアと米サンディスクを加えた5社が世界大手となる。
各社の決算はすでに市場予想を上回る内容が相次いでいる。サムスン電子は半導体部門の営業利益が1〜3月期に53兆7000億ウォン(約5兆7000億円)となり、前年同期の49倍に急増した。SKハイニックスの連結純利益も同期間に5倍となった。
アナリスト予想を集計したQUICK・ファクトセットによると、メモリー5社の今期純利益合計は63兆円と、前期の11兆円から約6倍に拡大する見通しだ。各社で決算期が異なるため、現在進行中の決算期を今期として集計した。63兆円はGAFAMの今期純利益94兆円の7割弱に相当する。来期には87兆円まで増え、GAFAMの103兆円に近づくとの見方もある。個社でみると、サムスン電子の今期予想純利益はアルファベットを上回る。
DRAMとNANDに資金流入
利益急増の背景には、生成AIへの投資拡大がある。米テック大手などがデータセンター建設を急ぐなか、メモリー需要が急速に膨らんでいる。AI向け半導体では当初、計算性能の高い米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)が注目されたが、AIの普及でデータ蓄積の重要性が増し、メモリーの比重も高まった。
DRAMは短期記憶を担い、生成AIの応答速度などに影響する。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社で世界シェアの9割を握り、DRAMを積層してつくるHBMがAI向けの主役になっている。NANDは長期記憶として学習データの蓄積を支える。世界シェアでは韓国勢に続き、キオクシアが3位につける。
時価総額も膨張
メモリー大手5社は、AIブームに沸く株式市場の中心に位置している。5社の時価総額は今年に入り約350兆円増え、GAFAMの約210兆円や東証プライム全体の約160兆円を上回った。
キオクシアのPER(株価収益率)は前期ベースで60倍と高水準にある。ただ、今期の市場予想ベースでは10倍程度まで低下し、10倍台後半の東証プライム平均を下回る。利益予想が実現すれば、株価にはなお上昇余地があると受け止められやすい。
市場が注視するのは、生成AIの登場でメモリーの高需要が長期化するのか、それとも数年おきに好不況を繰り返すシリコンサイクルの一局面にすぎないのかという点だ。投資家は15日の決算から、その手掛かりを探る。
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