NOAA、2026年後半のスーパーエルニーニョ確率を37%に上方修正
発生確率を12ポイント上げる
米海洋大気局(NOAA)は14日、2026年後半にスーパーエルニーニョが起きる確率を37%と発表した。4月時点の25%から12ポイント引き上げた。欧州中期予報センターも発生の可能性を示す予測を公表している。
エルニーニョは太平洋赤道域で海面水温が平年より高い状態が続く現象で、豪雨や干ばつ、高温など世界規模の異常気象を招く。非常に強いタイプはスーパーエルニーニョと呼ばれ、観測体制が整った1950年以降では82〜83年、97〜98年、2015〜16年の3回しか記録がない。世界気象機関(WMO)は4月24日、早ければ5〜7月にもエルニーニョが起きるとし、NOAAは同期間の発生確率を82%と見込んだ。気象庁も5月12日、夏までに発生する確率を90%に引き上げた。
食料供給と気温への波及
世界の気象機関は今夏までの発生を相次いで予測しているが、焦点はその規模がスーパーエルニーニョになるかどうかだ。東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩教授は、春時点の予測は不確実性が大きいとしつつ、「リスクは十分にある」と指摘する。
影響は食料供給に及びやすい。エルニーニョはコメ、小麦、トウモロコシなど主要穀物の生産地を直撃し、研究では世界の農地の少なくとも4分の1で収量への影響が確認されている。特にアフリカ南部、オーストラリア、東南アジアでは、それぞれトウモロコシ、小麦、コメの減収が起きやすい。1997〜98年は中南米で大雨をもたらし、トウモロコシやコーヒー、カカオ、バナナの生産に甚大な被害を与えた。2015〜16年はオーストラリア、アフリカ東部、東南アジアを深刻な干ばつが襲い、小麦やコメの生産を直撃した。
国連食糧農業機関(FAO)などは、発展途上国を中心に6000万人超が深刻な食料や水不足、健康被害に直面したと報告している。欧州委員会の研究機関「共同研究センター」(JRC)も4月、農業を巡る主な懸念としてエネルギーや肥料価格の上昇に加え、今後のエルニーニョ現象を挙げた。英シンクタンク「エネルギー気候インテリジェンスユニット」のギャレス・レドモンド・キング氏は、エルニーニョと中東情勢という2つの悪材料が重なれば、世界の食料供給を脅かすと警鐘を鳴らす。
27年の気温上振れリスク
エルニーニョは海にたまった熱を大気に放出するため、発生した年から翌年にかけて地球全体の気温を押し上げる。23〜24年のエルニーニョでは地球温暖化と重なり、世界の年平均気温が2年連続で観測史上最高を更新した。三重大学の立花義裕教授は、スーパーエルニーニョの後は平均気温が一時的に上がっても戻りにくいとみる。米研究機関バークレー・アースの気候科学者、ジーク・ハウスファザー氏は、26年後半からスーパーエルニーニョが続けば、27年は世界の平均気温が観測史上最高を更新すると指摘する。
日本はエルニーニョ発生時に冷夏になりやすいとされてきた。ただ、立花氏は、スーパーエルニーニョが起きると冷夏をもたらすフィリピン沖の海面水温も高まり、日本に猛暑をもたらす可能性があると解説する。
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