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米中首脳会談で米企業が外交カード化、半導体と航空機が焦点

米中首脳会談、エヌビディアやボーイングが交渉材料に

企業トップを前面に

米中首脳会談で、米政府は企業トップを同行させ、自国企業の製品や技術を対中交渉の材料にしている。人工知能(AI)向け半導体や航空機の供給は、米中関係の緩和と同時に米企業の商機にもつながっている。

トランプ米大統領の訪中には、エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)をはじめ、半導体、航空機、金融、農業などの分野から米企業幹部十数人が同行した。トランプ氏は今回の訪中の目的を、中国市場の「開放」と位置づけている。

ロイター通信は14日、米政府がエヌビディアの高性能半導体「H200」について、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)、字節跳動(バイトダンス)など中国約10社への輸出を許可したと報じた。AIの中核を担う半導体の対中輸出は、容認に傾いている。

株価と受注に広がる期待

中国事業の拡大期待から、エヌビディア株は14日に一時、前日終値比で5%高まで上昇した。

航空機でも取引は進んだ。米FOXニュースが14日に公開したトランプ氏のインタビューで、同氏は中国から米ボーイングの航空機200機を受注することで合意したと明らかにした。

ボーイング機は過去にも外交カードとして使われてきた。トランプ氏が初訪中した17年には、中国が航空機300機の発注で合意した。一方、関係が冷え込み関税引き上げ合戦となった25年には、中国が報復措置としてボーイング機の購入停止を指示したと報じられた。

依存を警戒する中国

米国側には、中国に重要な技術や戦略物資の供給を続けることで、相手の供給網を押さえ込めるとの思惑がある。ただ、中国側から見れば、米国依存は有事に交渉材料として利用されかねず、その「毒まんじゅう」を本心から求めているかは見えにくい。

シンクタンク、国際危機グループのアリ・ウェイン氏は「中国は技術面で自立を加速しようとしている。トランプ政権の関税や輸出規制で、中国は米国依存が安全保障を脅かすことを明確に理解した」と指摘する。

エヌビディアのH200を巡っては4月、ラトニック米商務長官が米議会証言で、中国向け輸出は実現していないと認めた。中国政府は国内企業に対し、H200を購入しないよう働きかけているという。

技術以外では、大豆が米国の対中外交カードだったが、関税をめぐる対立の中で中国はブラジルからの代替輸入に切り替えてきた。

中国側も規制で揺さぶり

中国国営の新華社通信によると、習近平(シー・ジンピン)国家主席は米国企業幹部と会い、「中国の開放の扉はますます大きく開かれる」と述べた。

もっとも、中国側にとって米国企業の進出は、逆に交渉材料として使える。訪中企業団には、テスラのイーロン・マスクCEOやアップルのティム・クックCEOら、中国で製品を生産する米テック企業の幹部が並んだ。いずれも販売と生産の両面で中国を無視できない。

中国政府はこうした企業の事業拡大を、規制を通じて揺さぶる余地がある。依存を伴う「開放」を促し、事業を人質にする戦略ともいえる。

例えば中国政府は23年、米マイクロン・テクノロジーの製品について「インターネットのセキュリティー上、比較的深刻な問題がある」として、重要情報インフラでの調達を禁じた。25年にはエヌビディアのAI半導体にバックドア(裏口)と呼ぶセキュリティー上の懸念があると主張し、圧力をかけた。

中国では米スターバックスや米ナイキが苦戦するなど、現地企業との競争で米国ブランドの存在感が以前ほど通用しない例も増えている。自動車でも、テスラや独フォルクスワーゲンなど海外勢は、地場の電気自動車(EV)メーカーの台頭に苦しむ。あらゆる業種で、中国政府との関係構築が事業継続の条件になりつつある。

中国はトランプ氏を国賓として迎え、13日夜の空港到着時には、17年の訪中時より出迎え役を格上げするなど丁重にもてなした。米中緩和ムードの裏では、将来の覇権を巡るしたたかな攻防が続いている。

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